公開日:2026/7/13

最終更新日:2026/7/13

「月刊コンバーテック」2026年7月号に「ハードエンボス加工が生み出す機能」を寄稿しました

合同樹脂工業 技術専門誌掲載のお知らせ

このたび、『月刊コンバーテック』2026年7月号に、当社代表取締役 長木翔吾の寄稿記事が掲載されました。

寄稿テーマは、
「ハードエンボス加工が生み出す機能
― フィルム・樹脂の非コーティング型表面形状設計とその活用 ―」
です。

今回の記事では、当社が手掛けるハードエンボス加工について、単なる「柄付け」や「意匠性」の技術としてではなく、フィルムや樹脂の表面形状を設計し、さまざまな機能につなげる技術という観点から整理しました。

エンボス加工フィルムで可能な参考用途写真イメージ
エンボス加工フィルムで可能な参考用途写真イメージ

寄稿テーマについて

フィルムや樹脂製品の機能を検討する際には、材料の種類や添加剤、コーティング処方などに加えて、「表面形状」が重要な要素となります。

例えば、平滑な表面と凹凸のある表面では、対象物との接触状態が異なります。また、表面に形成された溝や凹凸は、空気の流れや光の反射にも影響します。

そのため、表面形状を変えることで、
・離型性や滑り性を調整する
・過度な密着を抑える
・空気の通り道やスペースを形成する
・マット感や光拡散性を付与する
といった機能を検討できる場合があります。

今回の寄稿では、こうした「形状で機能を生み出す」という考え方を、ハードエンボス加工の特徴や活用例とともに紹介しました。

なぜ表面形状が重要なのか

エンボス加工というと、「柄をつける加工」「見た目を変える加工」というイメージを持たれることがあります。

もちろん、意匠性の付与もエンボス加工の重要な用途の一つです。

一方、当社が日々さまざまなご相談を受ける中では、
「対象物が剥がれにくい」
「フィルムの滑りが悪い」
「粘着性のある材料が密着しすぎる」
「光源の映り込みを抑えたい」
といった課題に対して、表面の凹凸形状が一つの解決手段となる場合があります。

材料そのものを変更したり、新たなコーティング層を設けたりするだけでなく、
「表面形状を変えることで改善できないか」
という視点を持つことで、新たな選択肢が生まれることがあります。

今回の寄稿では、こうした考え方を大きく3つの機能に分けて整理しました。

ハードエンボス加工が生み出す3つの機能

1.接触制御 ― 離型性・滑り性・過密着防止

平滑な面同士が接触すると、接触状態によっては密着や摩擦が大きくなる場合があります。

これに対して、フィルム表面に凹凸を形成することで対象物との接触状態を変え、用途によっては、
・離型性の向上
・滑り性の調整
・摩擦の軽減
・過度な密着やブロッキングの抑制
などを検討できます。

当社では、工程用セパレータや粘着性材料の過密着防止、搬送時の滑り性調整など、さまざまな用途で表面形状の検討を行っています。

また、未処理フィルムだけでなく、離型処理などが施されたフィルムにエンボス加工を組み合わせることも可能です。

表面形状のみで対応するのか、既存の材料構成や表面処理と組み合わせるのか。要求性能に応じて検討することが重要です。

2.空間形成 ― 流路やスペースをつくる

エンボス加工による凹凸は、対象物との接触を変えるだけでなく、表面に溝や空間を形成する役割も持ちます。

例えば、貼り合わせや積層工程では、界面に残った空気が不良につながることがあります。こうした場合、凹凸形状によって形成された溝を、空気の排出経路として活用できる可能性があります。

また、比較的剛性のあるフィルムに凹凸を形成することで、
・空気や水の流路形成
・スペースの確保
・表面積の増加
・フィルムへのコシ感の付与
などを検討できる場合があります。

このように、エンボス加工は単に「接触を減らす」だけではなく、「必要な空間をつくる」という観点でも活用できます。

3.光制御 ― マット・艶消し・光拡散

表面形状は、光の反射挙動にも影響します。

平滑な表面では光源や周囲の景色が映り込みやすい一方、表面に凹凸を形成することで光の反射方向が変化し、用途によっては、
・マット感の付与
・艶の抑制
・光源の映り込み緩和
・光拡散
などを検討できます。

当社では、マット・梨地などのランダムな粗面形状から、規則性を持つ幾何学パターンまで、さまざまな表面形状を取り扱っています。

光の見え方は、形状だけでなく、フィルム素材や透明性、表面粗さ、光源との距離などによっても変わります。そのため、実際の使用環境に近い条件で評価することが重要です。

フィルムとして使うだけでなく、樹脂への形状転写も

今回の寄稿では、ハードエンボスフィルムの使用方法についても紹介しました。

大きく分けると、次の2つの方法があります。

1つ目は、エンボス加工したフィルム自体を、最終製品や工程材料として使用する方法です。
2つ目は、エンボスフィルムの凹凸形状を、樹脂成形工程で樹脂側へ転写する方法です。

転写用途では、フィルム表面の形状を樹脂側へ移すことで、樹脂製品の表面にマット感や凹凸形状、各種機能を付与できる場合があります。

また、エンボスフィルムを変更することで異なる形状を比較できるため、試作段階で複数パターンを評価したい場合にも活用できます。

表面形状の検討は、まず実物評価から

エンボス加工の対応力について

エンボス形状を検討する際、必ずしも最初から詳細な形状設計が必要とは限りません。

実際には、
「剥離が重い」
「ブロッキングしてしまう」
「滑り性を改善したい」
「光を拡散させたい」
といった具体的な課題を起点に検討が始まるケースも多くあります。

そして、高さ・ピッチ・配列・粗さなどが異なる複数のパターンを実際に評価することで、適した方向性が見えてくる場合があります。

表面形状による効果は、実際に、
・触れる
・貼り合わせる
・剥がす
・搬送する
・光を当てる
といった評価を行うことで初めて分かることも少なくありません。

当社では100種類以上の既存エンボスパターンを保有しており、課題や用途に応じて複数パターンの比較評価をご提案しています。

まずは既存パターンで「あたり」をつけ、その後、必要に応じて柄やエンボス深さ、加工条件を調整していく進め方も可能です。

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「コンバーテック」2026年7月号について

掲載誌:「コンバーテック」2026年7月号
発行:株式会社加工技術研究会
記事タイトル:「ハードエンボス加工が生み出す機能~フィルム・樹脂の非コーティング型表面形状設計とその活用~」

執筆:合同樹脂工業株式会社 代表取締役 長木翔吾

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ハードエンボス加工・表面形状設計のご相談

合同樹脂工業では、PET、PP、PEN、PIなど各種フィルムへのハードエンボス加工を行っています。

「今の材料はできるだけ変えたくない」
「コーティング以外の方法を検討したい」
「剥離性や滑り性を改善したい」
「どの形状が適しているか分からない」
といった段階からでもご相談いただけます。

既存の100種類以上のエンボスパターンを活用したサンプル評価や、小ロットでの試作にも対応しています。

表面形状による課題解決の可能性を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

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本記事が皆さまの製品開発や工程改善のヒントとなれば幸いです。

その他のブログについてもぜひご覧ください。

執筆者

本記事は、半世紀以上にわたりエンボス加工専業で取り組んできた合同樹脂工業の技術知見をもとに解説しています。 
 
半世紀以上の経験から、ご要望に応じた素材や柄、使用方法をご提案いたします。

サンプルのご依頼も可能ですので、是非お気軽にご相談ください。

監修者:合同樹脂工業株式会社 代表取締役 長木 翔吾 

合同樹脂工業社長写真

一橋大学商学部卒。経営コンサルティング会社にて製造業を中心とした経営支援業務に従事した後、合同樹脂工業株式会社に入社。 
プラスチックフィルムへのエンボス加工を主力とする同社にて、製造現場・品質管理・技術情報の統括を担う。 
半世紀にわたり同社が蓄積してきたハードエンボス加工の現場知見とフィルム加工分野の技術動向をもとに、実際の製造現場に基づく信頼性の高い技術情報の整理・監修を行っている。  

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