公開日:2024/11/25
最終更新日:2025/7/10
エンボス加工とは?素材と凹凸で機能性付与“エンボス加工”の基礎をご紹介!
先日のブログ「エンボスとは?機能性付与や意匠性向上に役立つ“エンボス加工”の基礎知識をまとめました!」でエンボスとは?についてご紹介いたしました。
※まだご覧になられていない方はぜひ上記リンクからご確認ください。
今回はさらに一歩進んで、「どのような素材にエンボス加工が施されるのか」「エンボス加工が持つ具体的な機能とは?」について詳しくご紹介します。
エンボス加工とは、フィルムやシートの表面に凹凸模様を施すことで、視覚的な装飾性と実用的な機能性を付加する加工技術です。本記事では、エンボス加工の原理や仕組み、対応可能な素材、機能面での効果、具体的な活用事例まで、幅広く詳しく解説いたします。
【自己紹介】
当社・合同樹脂工業は、ポリエステルやポリイミドなどの高剛性フィルムを中心に、エンボス加工を行っております。精密な凹凸形成技術と100種類以上のエンボスパターンを活かし、機能性と意匠性を両立した製品を多業界にご提供しています。
エンボス加工とは、フィルムやシート表面に加熱・加圧をかけて凹凸パターンを転写する加工です。この加工により、装飾性だけでなく、滑り止め性、剥離性、光拡散性など、多様な機能性が加わります。
加工後のフィルムは「エンボスフィルム」と呼ばれ、包装材、工業材料、電子部材など多くの用途で使用されています。
エンボス加工は、特殊なパターンを施した金属製のエンボスロールを使用して行います。素材を加熱しながらエンボスロールで加圧することで、表面に凹凸模様を転写します。
エンボスロールにはクロムメッキなどの耐摩耗性処理が施され、長期間安定した加工が可能です。当社では、皮目・格子・水玉・マット調・鶴柄など100種類以上の柄に対応可能で、深さの調整もミクロン単位で行えます。柄深さも用途に応じて調整でき、素材ごとに考慮した加工設計を行っています。
実は日常生活で一番エンボスされた目にすることが多い素材かもしれません。身近なところではスーパーのレジ袋に施されており、開封補助効果や湿布のセパレーターの剥離力向上目的などにエンボス加工が使用されています。
PP(ポリプロピレン)フィルムは融点、熱変形温度、常用温度がPEよりも高く、硬い材料です。ラミネート用などで使用され、紙へラミネートし、教科書表紙の意匠などに使用されています。
強靭な剛性やガスバリア性といった優れた特徴を持つポリエステル。当社が最も加工している素材になります。主に樹脂への転写用途や装飾用途、PETの強靭性や耐熱性を活用した多様な工程紙用途などで使用されております。
ポリイミドフィルムは耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的強度に優れており、通常300°C以上の温度に耐えることができます。当社はポリイミドフィルムにエンボスが可能です。
右の画像はPIフィルムへエンボス加工を施したフィルムとなります。
エンボス形状はフィルムに多様な効果をもたらします。凹凸パターンにより装飾性が向上し、質感や高級感を演出可能です。また、光を乱反射させることでグレアを抑え、視認性を向上させます。さらに、滑り止め効果を持たせることで安全性を高め、傷や指紋、汚れが目立ちにくくなる実用性もあります。凹凸が摩耗を分散させるため耐久性が向上し、製品の保護性能もアップします。こうした効果により、エンボス加工されたフィルムは、デザイン性と機能性を兼ね備えた素材として広く利用されています。
エンボス加工を施すことによりフィルム表面の凹凸による表面積の向上が可能となります。深度が大きい柄ほど表面積は向上します。
接触面積が増え、接着性や吸収性向上に寄与することもあります。
エンボス加工を施すことで表面の凹凸による対象物との接地面積を低減することが可能となります。その効果で対象物との剥離性能を向上させることができ、セパレーター用途などに最適です。
凹凸内部に空気層を形成し、緩衝材・スペーサーとしての機能を持たせられます。クッション性を与えることが可能となり、緩衝材などに活用することが可能です。
※当社では12μフィルムへ300μ以上の深さを付与可能
エンボス加工はその凹凸により【光を拡散・乱反射】させる効果を付与することが可能です。 表面のエンボス形状により、視覚的にモノを隠蔽・遮断する効果や、蛍光灯など光源の映り込みを防止することが可能になります。
エンボス加工による凹凸は光の乱反射を促すことが可能です。特に、深い柄は光を乱反射する能力が高く、マットや梨地などの柄は表面のフラット性をなくし、フィルムへ光の乱反射や屈折による艶消しの効果を付与することが可能です。
・光の拡散
光を乱反射させ、ギラつきを抑えたソフトな見た目を実現。
・視認性の向上
反射防止(アンチグレア)ディスプレイの保護フィルムなどで、視認性を向上。
イルミネーションなどの祭典で光の装飾などに使用された実績もございます。※詳細は光拡散効果のページでご紹介しております。
表面のテクスチャによって、光の反射をコントロールし、マットな仕上がりや特定の装飾効果を作り出します。 また、凹凸パターンがあることで高級感や独特なテクスチャを演出できる。革調やマット仕上げ、すりガラス調など多様な表現が可能です。上記写真イメージの様にエンボスフィルムから樹脂に転写することも可能です。
エンボスフィルムは、プラスチックフィルムの表面に凹凸(パターン)を付与することで、機能性・意匠性の両立を図った高付加価値材料です。さまざまな業界で使用されています。
エンボスフィルムはウィンドウフィルム用途でも使用されており、エンボスによる凹凸が自然光を柔らかく拡散させ、室内の眩しさを軽減。空間全体をやさしい印象にする効果やすりガラス調にすることで可視光の透過率をコントロールすることで、外からの視線を遮断しながら採光を確保することが可能です。
樹脂硬化時にエンボスフィルムを合わせることで、フィルムの形状を樹脂に転写することができます。
住宅用カーポートの表面にエンボス形状を転写することで、樹脂をすりガラス調にすることが可能です。その効果により表面に遮光性やデザイン性を付与します。
また、お風呂床のデザインを賦形する転写用工程紙フィルムとしてエンボスフィルムが使用された実績もあります。
エンボス加工でフィルムの表面に凹凸形状をつけることで、フラットよりさらに離型性能を高めたセパレーターを作成できます。
ゴムやゲルなどの過密着しやすい粘性製品への密着防止、剥離性の高い保護フィルムなどの用途でお客様の抱える離型課題の解決に貢献しています。
エンボス加工はシリコンフリーかつ残渣やアウトブリードの発生しないセパレータとしてご使用いただけます。
エンボス加工は、プラスチックフィルム表面に凹凸加工を施す加工です。装飾性(デザイン)と機能性をフィルムへ付与することが可能であり、凹凸パターンにより、光の乱反射で視認性向上や艶消し効果を得られ、滑り止めや耐久性、剥離性の向上など多様な効果を発揮します。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ポリイミド(PI)など多種素材に対応可能で、建材や各種工程紙などに広く活用されています。用途に応じたデザインや機能の選択が可能です。
今回の記事が、皆さまの製品開発や課題解決のヒントになれば幸いです。
「この素材にもエンボス加工できる?」「○○の機能性を高めたい」などのご相談もお気軽にお寄せください。
みなさまのご参考になれば幸いです。
その他のブログについてもぜひご覧ください。→ブログ一覧
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