公開日:2024/11/25
最終更新日:2025/6/30
エンボス加工とは?フィルムに機能性を与える加工技術を素材別に解説!
先日のブログ「エンボスとは?機能性付与や意匠性向上に役立つ“エンボス加工”の基礎知識をまとめました!」でエンボスとは?についてご紹介いたしました。
※まだご覧になられていない方はぜひ上記リンクからご確認ください。
今回はさらに一歩進んで、「どのような素材にエンボス加工が施されるのか」「エンボス加工が持つ具体的な機能とは?」について詳しくご紹介します。
フィルムやシートなどの素材に「凹凸」を施すことで、滑り止め・剥離性・装飾性・光拡散などの機能性を高める「エンボス加工」。
近年では、建材、電子部材、包装資材など、さまざまな分野でニーズが高まっています。
本記事では、エンボス加工の基本的な仕組みから、対応素材、効果、活用事例までをわかりやすく解説します。
【自己紹介】
表面エンボス加工の合同樹脂工業と申します。
合同樹脂工業は、二軸延伸ポリエステルフィルムやポリイミドフィルムなど高剛性のフィルムへエンボス加工を手掛けている会社です。素材の特性を活用した機能性エンボスフィルムの作成を得意としており、形状+基材特性を利用し、あらゆる課題の解決へのアプローチを行っております。
エンボス加工とは、フィルムなどの素材表面に凹凸模様を付ける加工技術です。視覚的なデザイン性だけでなく、耐久性、滑り止め、剥離性などの実用的な機能性も付与されます。
この加工を施したフィルムは「エンボスフィルム」と呼ばれ、多くの産業で活用されています。
エンボスロールは、フィルムやシート素材に特定の凹凸パターンを転写するための金属製ローラーです。表面にレーザー彫刻やエッチングなどの工法で模様が加工され、加工機で素材を加熱しながら圧力をかけて連続的にエンボス加工を行います。耐久性を高めるため、クロムメッキなどの表面処理が施されることが多く、木目や皮革調、格子模様など多様なデザインが可能です。
当社では100種類以上のエンボスロールを所有しており、ご使用可能です。
実は日常生活で一番エンボスされた目にすることが多い素材かもしれません。身近なところではスーパーのレジ袋に施されており、開封補助効果や湿布のセパレーターの剥離力向上目的などにエンボス加工が使用されています。
PP(ポリプロピレン)フィルムは融点、熱変形温度、常用温度がPEよりも高く、硬い材料です。ラミネート用などで使用され、紙へラミネートし、教科書表紙の意匠などに使用されています。
強靭な剛性やガスバリア性といった優れた特徴を持つポリエステル。当社が最も加工している素材になります。主に樹脂への転写用途や装飾用途、PETの強靭性や耐熱性を活用した多様な工程紙用途などで使用されております。
ポリイミドフィルムは耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的強度に優れており、通常300°C以上の温度に耐えることができます。当社はポリイミドフィルムにエンボスが可能です。
右の画像はPIフィルムへエンボス加工を施したフィルムとなります。
エンボス形状はフィルムに多様な効果をもたらします。凹凸パターンにより装飾性が向上し、質感や高級感を演出可能です。また、光を乱反射させることでグレアを抑え、視認性を向上させます。さらに、滑り止め効果を持たせることで安全性を高め、傷や指紋、汚れが目立ちにくくなる実用性もあります。凹凸が摩耗を分散させるため耐久性が向上し、製品の保護性能もアップします。こうした効果により、エンボス加工されたフィルムは、デザイン性と機能性を兼ね備えた素材として広く利用されています。
エンボス加工を施すことによりフィルム表面の凹凸による表面積の向上が可能となります。深度が大きい柄ほど表面積は向上します。
接触面積が増え、接着性や吸収性向上に寄与することもあります。
エンボス加工を施すことで表面の凹凸による対象物との接地面積を低減することが可能となります。その効果で対象物との剥離性能を向上させることができ、セパレーター用途などに最適です。
凹凸の付与で発生する空間により、フィルムそのものにクッション性を与えることが可能となり、緩衝材などに活用することが可能です。
※当社では12μフィルムへ300μ以上の深さを付与可能
エンボス加工はその凹凸により【光を拡散・乱反射】させる効果を付与することが可能です。 表面のエンボス形状により、視覚的にモノを隠蔽・遮断する効果や、蛍光灯など光源の映り込みを防止することが可能になります。
エンボス加工による凹凸は光の乱反射を促すことが可能です。特に、深い柄は光を乱反射する能力が高く、マットや梨地などの柄は表面のフラット性をなくし、フィルムへ光の乱反射や屈折による艶消しの効果を付与することが可能です。
・光の拡散
光を乱反射させ、ギラつきを抑えたソフトな見た目を実現。
・視認性の向上
反射防止(アンチグレア)ディスプレイの保護フィルムなどで、視認性を向上。
イルミネーションなどの祭典で光の装飾などに使用された実績もございます。※詳細は光拡散効果のページでご紹介しております。
エンボス加工フィルムは、装飾や機能性を別の樹脂素材へ転写する工程にも活用されています。
代表的なのがフィルムに加工された皮目調や梨地調の凹凸を、熱硬化樹脂の硬化前にフィルムを合わせることによって樹脂製品へ転写する方法です。表面のテクスチャによって、光の反射をコントロールし、マットな仕上がりや特定の装飾効果を作り出します。 また、凹凸パターンがあることで高級感や独特なテクスチャを演出でき、革調やマット仕上げなど多様な表現が可能です。
エンボス加工されたフィルムは、表面の凹凸によって剥離性が向上するため、各種セパレーター用途に適しています。
例えば、粘着フィルムや医療用パッドなどで、「貼り付け時にスムーズに剥がれる」「貼り付け面に密着しすぎない」などの機能が求められる場面で、エンボス構造が役立ちます。
また、空気が入り込みにくくなるため、作業性や製品の歩留まり改善にもつながる実用性の高いソリューションです。
エンボス加工されたフィルムは、表面の微細な凹凸によって光を乱反射させる光拡散機能を発揮します。これにより、直射光のまぶしさを抑えたり、光源の映り込みを軽減するといった効果が得られます。
特に、LED照明の導光板やカバー材、ディスプレイの拡散シート、建材用の採光フィルムなどで多く採用されています。
凹凸形状やパターンの深さによって光の拡散角度を制御できるため、用途に応じた最適な光演出が可能です。
また、当社では意匠性と光学機能を兼ね備えたパターン設計にも対応しており、空間演出や照明設計の自由度を高める素材としてご活用いただけます。
エンボス加工は、プラスチックフィルム表面に凹凸加工を施す加工です。装飾性(デザイン)と機能性をフィルムへ付与することが可能であり、凹凸パターンにより、光の乱反射で視認性向上や艶消し効果を得られ、滑り止めや耐久性、剥離性の向上など多様な効果を発揮します。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ポリイミド(PI)など多種素材に対応可能で、建材や各種工程紙などに広く活用されています。用途に応じたデザインや機能の選択が可能です。
今回の記事が、皆さまの製品開発や課題解決のヒントになれば幸いです。
エンボス加工は、見た目のデザイン性だけでなく、製品の機能性向上に直結する技術です。
PETやPIのような高機能素材にも対応できるため、さまざまな業界の製品開発に貢献しています。
「こんな用途に使える?」「この素材でも可能?」といったご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。
みなさまのご参考になれば幸いです。
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