先日のブログ「樹脂転写フィルムとは?樹脂にエンボス形状を付与し機能や意匠を高める事例をご紹介!」では樹脂転写フィルムについて事例を交えながらご紹介いたしました。
※ご覧になられていない方はぜひ上記リンクからご確認ください。
本日のテーマは弊社が最もエンボス加工を得意とする「PETフィルム」についてです。PETフィルムの特徴や用途、メリット、エンボス加工事例、環境対応などをご紹介いたします。簡単ではございますが最後までご覧いただけますと大変幸いでございます。
【自己紹介】
ハードエンボス加工の合同樹脂工業!
合同樹脂工業は、プラスチックフィルムへのアフターエンボス加工を手掛けている会社です。中でも二軸延伸ポリエステルフィルムやポリイミドフィルムなど高剛性のフィルムへも大きな凹凸を付与できる「ハードエンボス工法」が強みです。100種類以上の豊富な柄ラインナップと半世紀にわたり培った加工技術を多種多様な素材と組み合わせ、お客様の抱える様々な課題解決にお力添えさせていただいております。
PETフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)という熱可塑性ポリマーから作られるプラスチックフィルムです。中でも二軸延伸PETフィルムは、PET樹脂を二方向に伸ばすことで製造され、これにより高い強度と透明性が得られます。
引張強度が高く、折り曲げ耐性や耐衝撃性、耐摩耗性に優れています。
吸水性が小さく、線膨張係数が小さいです。
油脂、希酸、希アルカリなど、多くの溶剤に対し耐性を有します。
汎用的なプラスチックフィルムの中では耐熱温度が高く、-70℃から150℃の範囲で使用可能で、機械的特性への影響が小さいです。
ガス、水蒸気、油、臭気に対する優れたバリア性を持つことから、包装用途などにも適しています。
高い透明性と光沢を有します。
優れた電気絶縁体であり、 誘電強度も高いです。そのため電子部品などでも使用されています。
溶融したPET樹脂を金型から押し出し、厚いシートを形成します。
シートを急速に冷却し、無定形状態にします。
縦横両方向に伸ばし、ポリマー鎖を整列させます。これにより強度と透明性が向上します。
200℃以上の高温で処理し、分子構造を固定化します。これにより、フィルムの寸法安定性が確保されます。
優れた耐電圧性や耐熱性、強度、耐摩耗性があることから、モーター、ケーブル、柔軟なプリント基板の絶縁材として使用されています。
印刷性と耐久性の高さから、ラベルやテープなど印刷用基材として使用されています。
ガスや湿気に対する高いバリア性を活かして、食品、飲料、医薬品の包装などで使用されています。
高強度と軽量性、熱安定性があることから、コンデンサフィルムや保護層などにも使用されています。
弊社は二軸延伸PETフィルムを中心にエンボス加工を行っております。
剛性や耐熱性など、優れた性能を有するPETフィルムにエンボス加工を施すことで、柔らかい基材では実現が難しい付加価値を有するフィルムを作成することができます。
以下では、その事例についてご紹介いたします。
二軸延伸PETのような剛性や耐熱性のあるフィルムを用いることで、エンボスフィルムの長期使用を図ることができます。その結果、プラスチック廃棄量の削減につながり、環境への負荷を軽減することができます。
エンボス加工によりフィルムにコシ感や強度を付与できるため、さらなる長寿命化を実現できます。
高剛性・高耐熱性である二軸延伸PETフィルムにエンボス加工を施すことで、熱硬化樹脂への転写用フィルムや電子工程でのセパレータフィルムなどとしてもご使用いただけます。
PEやPP基材では柔らかくて使用できない場合も、二軸延伸PETエンボスフィルムを用いることで可能性が広がります。
↑高剛性・高耐熱性によりガラスの飛散防止性や遮熱性を実現できるPETフィルムにエンボス加工することで、下記のようなメリットのあるウィンドウフィルムを作成できます。
①遮蔽性(視認防止性)やすりガラス調の意匠性
②エンボスの凹凸による光拡散に伴う蛍光灯の映り込み防止性
③エンボスの凹凸による防指紋性や防汚性
④エンボス凹凸の空間による断熱性・結露防止性・遮熱性の向上
剛性のあるPETフィルムにエンボス加工をすることで、ダイナミックで立体的な形状を作り出すことが可能です。エンボス形状高さは最大で~1.2mmまでの実績がございます。
大きな凹凸によりフィルムに触感を付与することもでき、そのフィルムを転写フィルムとして使用することで、樹脂などの転写物に触感を付与することもできます。
上の写真はエンボスフィルムで樹脂表面へ石の触感のような触り心地を転写したサンプルとなります。エンボス形状の転写により、フラットな表面ではなく、本物の石であるかのようなザラザラとした触り心地を付与できます。
剛性のあるPETフィルムを用いるからこそ、フィルムに大きな凹凸を付与でき、そのエンボスフィルムを転写用フィルムとして用いることで樹脂表面にも大きな形状を付与できます。
紙製の工程紙や離型紙を使用している工程では、紙粉が出ることによる製造ラインや製品の汚染が懸念されます。
また膜厚の均一性が悪いことも多く、精度が要求される電子部材の工程紙として使用する際には後工程で不具合が発生することがあります。
そのような課題を有しながらPPやPEでは耐熱性が足りない場合は、耐熱性の高いPETフィルムを用いることで解決できる場合があります。
PPやPEを使用している工程では、素材の添加剤が時間の経過によりフィルム表面に浮き出てくるブリードアウト現象が生じることがあります。
これにより、フィルム表面が白濁し、油分がフィルム表面に付着することで印刷適正の低下や粘着力の低下、製品への付着による不具合、添加剤の擦れにより製品にキズがついてしまうなど、様々な不具合に繋がる場合があります。
添加剤を含まないPETフィルムを用いることにより、ブリードアウト現象の発生を防ぐことができます。
当社は独自のハードエンボス工法により、2軸延伸PETやポリイミドのような高剛性の素材をはじめ、PEEKフィルム、フッ素フィルム、ポリカフィルム、PENフィルム、PBTフィルム、OPP、CPP、アクリルフィルムなどにも豊富な加工実績がございます。フィルム素材とエンボス加工との組み合わせにより、フィルムの可能性を引き出しています。
PETフィルムはリサイクル可能なため、廃棄物を減らすことができます。
当社のエンボス加工は添加物などを一切使用しないケミカルフリーの工法のため、フィルム素材そのままでのリサイクルが可能です。
昨今、マテリアルリサイクル(廃棄物を新たな製品の原料として再利用する方法)が推進されていますが、その中にはリサイクルが困難なものや、分類・仕分けに時間がかかるものもあります。
例えば、塗工されたフィルムにはコーティングが付いているため、そのフィルムをマテリアルリサイクルするには、まずは回収されたフィルムを洗浄して異物を取り除くことが必要です。次いでそれを粉砕してフレーク状にし、再利用原料として新たな製品を製造します。
当社のエンボス加工は無添加かつ素材の能力を活かした加工となっており例えば剥離性の高いエンボス形状を賦形することで無添加なセパレーターを作ることも可能になります。エンボスフィルムは無添加製品であるため、ケミカルフリー工法が好まれる精密機器などの用途でご使用されています。
傷や化学物質にも強いため製品の寿命が長く、交換頻度が減ることで廃棄物を削減できます。
高強度なために軽量での設計が可能で、輸送時のエネルギー消費と炭素排出量を削減できます。
PETフィルムはプラスチックフィルムの中でも強度があるため、金属製品などの代替として使用することで軽量化を図ることができます。
エンボス加工を行うことでさらなる強靭化・コシ感の付与を実現することもできます。
地中に埋め立てられた場合でも地下水を汚染する心配がありません。
PETフィルムは、その優れた性能から、幅広い用途にて使用されています。PETフィルムにエンボス加工を行うことで、剛性・耐熱性の要求される用途や環境配慮性の高い用途にて使用することができる、付加価値の高いPETフィルムを作成することができます。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
今回のブログ内容はいかがでしたでしょうか。
みなさまのご参考になれば幸いでございます。
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