公開日:2026/4/14
最終更新日:2026/4/14
離型コート・マットコートの代替は可能?コーティングなしで離型・マット・光拡散を実現する方法【エンボス加工】

離型性の付与やマット化といった表面機能は、
これまでコーティングや添加剤によって実現するのが一般的でした。
しかし足元では、情勢によりコーティング剤の供給不安や納期長期化に直面しています。
さらには、残渣やライン汚染への懸念、環境対応の観点から、
「そもそも塗りたくない」というニーズが増えています。
このように、これまで一般的だったコーティングによる機能付与ですが、現在では状況に応じて別のアプローチも含めた検討が求められる場面も出てきています。
本記事では、こうした背景の中で注目されている、
エンボス加工による「非コーティング」型の機能付与技術について解説します。
実際の検討の進め方や適用例も含め、現場ですぐに活用できる形でご紹介します。


従来、表面機能は以下のように主にコーティングによって付与されてきました。
・離型性→シリコン等による表面エネルギー制御
・マット性→微粒子分散による粗さ付与
・光拡散→塗工層による散乱
これらは有効な手法であり、多くの用途で広く採用されています。
一方で直近では、表面機能の付与方法として「非コーティング」への注目が増しています。これにはいくつかの要因があります。
まず、昨今の情勢により、コーティング剤や添加剤の供給不安や価格上昇、納期の長期化といった問題があります。
これにより、従来の調達前提が崩れつつあります。
また半導体や精密電子部材などの分野では、残渣やブリードアウト、塗工の剝がれや滑落など、製品やラインへの影響を避けるため、「そもそも添加剤を塗りたくない」という要求が強まっています。
さらに、環境対応の観点からも、モノマテリアル化や添加剤レスへの要求が高まっており、コーティングに依存しない技術への関心が高まっています。
こうした中で、表面の凹凸形状によって機能を付与する方法として、エンボス加工が活用されています。
エンボス加工は、熱と圧力のみでフィルム表面に微細な凹凸形状を形成する加工技術です。
そのため、添加剤などの材料に依存せず、表面形状を設計することで機能を付与できます。
この凹凸形状により、
・接触面積の制御
・光の反射・拡散の制御
・摩擦特性
などを制御します。
つまり、材料を変えるのではなく、「形状」で機能を作るアプローチです。


エンボス加工では、表面に凹凸を形成することで接触面積を低減し、
離型性を向上させることが可能です。
具体的には、以下のような離型課題に対して有効です。
・フィルムや樹脂がくっついて剥がれない
・ブロッキングが発生する
・搬送時に滑りが悪い
・シリコンを使いたくない
エンボスによって接触状態そのものを変えることで、
コーティングを使用せずに剥離性を付与できます。
エンボス離型フィルムについては、以下のページで詳しくご紹介しています。


エンボス加工では、凹凸形状によって光を乱反射させることで、
マット感(艶消し)を付与することができます。
これにより、
・鏡面反射の抑制
・ギラつき・眩しさの低減
・均一で落ち着いた外観の実現
が可能になります。
また、この凹凸形状は樹脂へ転写することも可能であり、
マット感を持つ樹脂表面の形成にも活用できます。
非コーティングでフィルム・樹脂の両方にマット効果を付与することができます。
エンボスマットフィルムについては、以下のページで詳しくご紹介しています。
エンボス加工では、フィルム表面に形成した微細な凹凸により、光の進行方向を分散させることが可能です。
平滑な表面では、入射した光は鏡面反射しやすく、
ギラつきや映り込みの原因となりますが、
エンボス加工により表面に凹凸を付与することで、
・光が様々な方向に散乱される
・反射が分散される
・明るさが均一化される
といった効果が得られます。
その結果、
・まぶしさの低減
・外観の均一化
・視認性の向上
といった特性を付与することが可能です。
エンボスによる光拡散は、以下のような用途で活用されています。
・照明カバー・導光板
・ディスプレイ周辺部材
・外観部材(反射防止・意匠性向上)
エンボス光拡散フィルムについては、以下のページで詳しくご紹介しています。
エンボス加工の最大の特長は、熱と圧力のみで機能を付与できる点にあります。
これにより、以下のメリットがあります。
コーティング剤や添加剤を使用せず、原料は基材であるフィルムのみであるため、
・供給リスクの影響を受けにくい
・材料調達の制約を受けにくい
といったメリットがあります。
熱と圧力のみで成形するため、供給安定性の非常に高い加工法となります。
塗工工程や乾燥工程が不要であり、エンボス工程のみで完結します。
そのため、複数工程を経る場合と比較し、製品汚染リスクが低く、歩留まりが非常に高い加工法となります。
コーティング剤や添加剤を使用しないため、
ブリードアウト、残渣、塗工の剝がれや滑落によるライン汚染の懸念がありません。
このため、精密電子部材の製造工程などでも安心して使用できます。
材料そのままで機能を持たせることができるため、
離型層等の分離処理をする必要が無く、
モノマテリアルでのリサイクルが可能です。
環境にやさしい凹凸フィルムとして使用できます。
合同樹脂工業では、
・μmオーダーでの凹凸制御
・PET・PP・PEN・PIなど高剛性フィルムへの対応
・小ロット試作(数十m〜)
・100種類以上のパターン
といった条件での対応が可能です。
試作しながら最適化できる点が特長です。

フィルム加工においては、
・MOQが大きい
・条件変更が難しい
・気軽に試せない
といった課題がよくあります。
当社のエンボス加工では、
・数十m程度から試作可能
・1回の試作で複数条件の比較が可能
といった柔軟な対応が可能です。
具体的には、
・A4サンプル(初期評価)
・ロールサンプル(連続処理確認)
・小ロット試作(量産前検証)
といった段階的な検証が可能です。
これにより、
「まず試してみる」「比較しながら最適条件を探る」
といった進め方がしやすくなります。
離型性・マット性・光拡散といった機能は、
コーティングに加えて、「表面形状による設計」という選択肢も存在します。
その有効な手段が、本日紹介したエンボス加工です。
特に、
・材料の供給不安
・残渣・汚染リスク
・環境対応
といった課題を解決する有力な選択肢となり得ます。
PET、PP、PENなど、各種フィルム素材に対応しています。
コーティングや印刷など、各種処理がされたフィルムへの加工も可能です。
また、用途に応じた最適な素材のご提案もいたします。
詳しくは以下をご覧ください。
数十~数百m程度からの小ロット試作が可能です。
まずはサンプル評価から進めていただくケースが一般的です。
一般的には以下の流れで進みます。
① A4サンプルで初期評価
② 小ロット試作で中間評価
③ 量産試作
段階的に検討を進めることが可能です。
以下のような用途で検討・採用されています。
・粘着加工用セパレーター
・フィルム搬送用途(滑り・ブロッキング防止)
・マット外観用途
・光拡散用途
詳しくは下記をご覧ください。
条件によっては代替手段として検討可能です。
まずはサンプル評価を通じて、適用可能性をご確認いただくケースが多いです。
今回のブログはいかがでしたでしょうか。
「この用途で適用可能かわからない」「どの素材を選べばよいかわからない」といった段階でも問題ございません。
実際には、「まず問い合わせ」→「サンプル評価」→「条件調整」→「試作」と順を追ってご要望を形にしていきます。
素材の特性とエンボスパターンの組み合わせによって、貴社の製品・工程に最適なカスタマイズをご提案いたします。
本記事が皆さまの製品開発や工程改善のヒントとなれば幸いです。
その他のブログについてもぜひご覧ください。

5月13日~15日にインテックス大阪で開催される「高機能フィルム展」に出展いたします。
本記事でご紹介した「非コーティングによる離型・マットフィルム」について、
実物サンプルをご覧いただけます。
・実際のエンボスフィルム
・用途別サンプル
などをご用意しています。
当日の技術相談も可能ですので、
ご来場予定の方はぜひお立ち寄りください。
本記事は、半世紀以上にわたりエンボス加工専業で取り組んできた合同樹脂工業の技術知見をもとに解説しています。
半世紀以上の経験から、ご要望に応じた素材や柄、使用方法をご提案いたします。
サンプルのご依頼も可能ですので、是非お気軽にご相談ください。
監修者:合同樹脂工業株式会社 代表取締役 長木 翔吾

一橋大学商学部卒。経営コンサルティング会社にて製造業を中心とした経営支援業務に従事した後、合同樹脂工業株式会社に入社。
プラスチックフィルムへのエンボス加工を主力とする同社にて、製造現場・品質管理・技術情報の統括を担う。
半世紀にわたり同社が蓄積してきたハードエンボス加工の現場知見とフィルム加工分野の技術動向をもとに、実際の製造現場に基づく信頼性の高い技術情報の整理・監修を行っている。
ブログ検索
最新記事
ブログカテゴリー
タグ