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マットPETとは?PETフィルムの凹凸による艶消し効果

公開日:2022/12/6

最終更新日:2026/7/15

マットPETとは?PETフィルムの凹凸による艶消し効果

マットPETとPETフィルム表面の凹凸による艶消し効果

マットPETとは、表面の光沢を抑え、マット調・艶消し調に仕上げたPETフィルムを指します。「マットPETフィルム」と呼ばれることもあります。

マットPETの作製方法は一つではありません。表面にマットコーティングを施す方法、PETフィルム自体にマット成分を持たせる方法、表面へ物理的な凹凸を形成する方法などがあります。

合同樹脂工業では、熱と圧力を利用したエンボス加工によってPETフィルム自体に凹凸を形成し、光の反射や透過の仕方を変えることで、マット感や艶消し効果を付与しています。

本記事では、マットPETの基本的な意味と、PETフィルム表面の凹凸によって艶消し効果が得られる仕組み、加工を検討する際のポイントを解説します。

マットPETとは

マットPETとは、一般に、表面の光沢や映り込みを抑えたPETフィルムを表す呼び方です。

ただし、「マットPET」という名称だけで、表面状態や性能が一律に決まるわけではありません。

同じマットPETでも、作製方法や製品によって、次のような違いがあります。
・透明感を比較的残したもの
・すりガラス調に見えるもの
・表面が細かく、滑らかに感じられるもの
・目視や触感でも分かる凹凸を持つもの
・コーティング層によってマット感を付与したもの
・PETフィルム自体に凹凸を形成したもの

そのため、マットPETを選定する際は、「マットPETが欲しい」という条件だけでなく、必要な外観、透明性、表面粗さ、触感、用途などを整理することが重要です。

マット加工の主な方法や、それぞれの特徴については、「マット加工とは?」の記事で詳しく解説しています。

PETフィルムの凹凸で艶消し効果が得られる仕組み

表面が平滑なPETフィルムに光が当たると、反射光が比較的一定の方向へ進みます。そのため、フィルム表面に光沢が生じたり、照明や周囲の物が映り込んだりします。

一方、PETフィルムの表面に細かな凹凸を形成すると、光が凹凸面のさまざまな方向へ広がります。

反射光が一方向に集中しにくくなることで、表面の光沢や映り込みが抑えられ、マット調・艶消し調の見え方になります。

透明なPETフィルムの場合は、表面の凹凸によって透過光の進む方向も変化します。その結果、透明感、ヘイズ、透過像の見え方などが加工前から変わり、すりガラス調に見える場合もあります。

PETフィルム表面のエンボス凹凸による反射光の広がり
PETフィルム表面のエンボス凹凸による透過光の広がり

マット感や映り込みの程度は、表面粗さの数値だけで決まるものではありません。

次のような要素も見え方に影響します。
・凹凸の大きさ
・凹凸の深さ
・凹凸の間隔
・凹凸の形状
・PETフィルムの厚み

・PETフィルム自体の透明性や色
・光源や観察する角度

そのため、目標とする外観がある場合は、表面粗さなどの測定値だけでなく、実際のサンプルを用いて見え方を確認することが重要です。

光が広がる仕組みや、ヘイズ・全光線透過率などの評価項目については、「光拡散フィルムとは?」の記事で詳しく解説しています。

エンボス加工で作るマットPETの特徴

PETフィルム自体に凹凸を形成する

エンボス加工では、主に熱と圧力を加えることによって、PETフィルム自体を変形させ、表面に凹凸を形成します。

エンボス工程でマットコーティング剤を新たに塗布するのではなく、PETフィルムの物理的な表面形状によってマット感を付与する点が特徴です。

そのため、塗工層の剥がれや脱落、塗工剤の移行などを避けたい用途でも、選択肢となる場合があります。

凹凸柄によって見え方や触感を調整できる

エンボス加工では、使用するロールの柄によって、PETフィルム表面に形成される凹凸の大きさや形状が変わります。

マット柄には、細かな凹凸を持つものから、梨地状、皮目状、比較的粗い凹凸を持つものまで、さまざまな表面形状があります。

マットエンボスの柄の例
梨地エンボスの柄の例

同じフィルムを使用しても、柄によって光沢、透明感、触感、相手材との接触状態などが異なります。そのため、目的とする見え方や機能に応じて、複数の柄を比較する方法が有効です。

マット柄の一覧は以下のページで紹介しています。

マット感以外の機能も検討できる

PETフィルム表面の凹凸は、光沢を抑えるだけでなく、フィルムと相手材の接触状態を変える働きもあります。

凹凸形状によっては、次のような機能を併せて検討できる場合があります。
・滑り性
・密着防止
・離型性
・触感の付与
・樹脂への表面形状の転写

マットエンボスの用途や加工例については、以下の「艶消し・マット効果」ページで紹介しています。

既存のマットPETへ追加で加工できる場合がある

透明なPETフィルムだけでなく、既にマット感を持つPETフィルムへ、追加でエンボス加工を行える場合もあります。

例えば、既存のマットPETでは表面粗さが足りない場合や、さらに凹凸を付与して相手材との接触面積を減らしたい場合などに検討されます。

ただし、加工可否や仕上がりは、次の条件によって異なります。

・PETフィルムのメーカー・製品名・グレード
・フィルムの厚み
・表面処理の有無
・コーティングの種類
・コーティング層の耐熱性

実際の基材を使用し、加工後の外観や表面状態を評価する必要があります。

PETフィルム自体の特徴、種類、厚み、加工時の注意点については、「PETフィルムとは?」の記事をご覧ください。

規格品のマットPETとエンボス加工による凹凸付与の違い

規格品のマットPETを使用する方法と、PETフィルムへエンボス加工を施す方法には、次のような違いがあります。

項目

規格品のマットPET

エンボス加工で凹凸を付与する場合

入手・作製方法
フィルムメーカーなどの既存製品から選定する
PETフィルムへ後工程で凹凸を形成する
表面の作り方
コーティング、練り込み、表面加工など製品によって異なる
主に熱と圧力でPETフィルム自体に凹凸を形成する
表面仕様
製品ごとに仕様が定められている
既存のエンボス柄から目的に近い形状を検討するか、新しい形状の設計を検討する
PET基材
製品として設定されたPETフィルムを使用する
支給材や用途に応じて選定したPETフィルムを使用できる場合がある
評価方法
カタログ値やメーカーサンプルで確認する
実際に柄を加工したサンプルで確認する
適しているケース
既存製品の仕様で要求を満たせる場合
既存品では粗さや凹凸形状が足りない場合、複数の柄を比較したい場合

規格品とエンボス加工のどちらが適しているかは、必要な表面状態、数量、基材、納期などによって異なります。

既存品では目的とする粗さや凹凸形状が得られない場合は、エンボス加工による追加の表面設計が選択肢になります。

マットPETを検討する際の確認事項

目的とする見え方・機能

まず、マットPETによって何を実現したいのかを整理します。

例えば、次のような目的があります。
・表面の光沢を抑えたい
・照明や周囲の映り込みを抑えたい
・すりガラス調に見せたい
・透明感をある程度残したい
・表面粗さを大きくしたい
・滑り性や密着防止性を持たせたい
・樹脂へマット形状を転写したい

目的によって、適したPETフィルムや凹凸柄は異なります。

使用するPETフィルムの仕様

エンボス加工を検討する際は、可能な範囲で次の情報を確認します。

・メーカー名
・製品名・グレード
・フィルムの厚み
・フィルムの幅
・表面処理やコーティングの有無
・印刷、蒸着、ラミネートなどの有無

同じPETフィルムでも、グレードや表面処理によって加工性が異なる場合があります。

目的とする外観や測定値

目標となる見本品や既存品がある場合は、現物を基準にして検討すると、希望する表面状態を共有しやすくなります。

数値で管理する場合は、用途に応じて次の項目を確認します。
・表面粗さ(Ra、Rzなど)
・光沢度
・ヘイズ

ただし、同程度の表面粗さであっても、凹凸形状が異なれば、光沢や透明感、触感が異なる場合があります。

表面粗さの数値と、実際の見え方の両方を確認することが重要です。

粗いマット柄やRa1.0以上の表面粗さについては、「エンボス加工による表面粗さの向上」のページで紹介しています。

使用面・相手材・後工程

エンボス加工では、フィルムの表裏で凹凸の見え方や形状が異なる場合があります。

そのため、次の点も確認します。
・どちらの面を使用するか
・どのような材料と接触するか
・PETフィルム自体を製品として使用するか
・転写フィルムとして使用するか
・加工後に印刷、コーティング、粘着加工、ラミネートなどを行うか

サンプルで実際の見え方を確認する

マット感、透明感、映り込み、触感などは、文章や数値だけでは判断しにくい要素です。

目的に近いエンボス柄がある場合は、まずカットサンプルで比較し、必要に応じて実際のPETフィルムを使用した試作へ進む方法が有効です。

マットPETに関するよくあるご質問

透明なPETフィルムにもマット感を付与できますか?

透明PETフィルムへエンボス加工を施し、表面に凹凸を形成することで、マット感や艶消し効果を付与できます。

また、凹凸によって光の進み方が変わるため、透明感・ヘイズも加工前から変化します。

マットPETへ追加でエンボス加工できますか?

加工できる場合が多いです。

ただし、コーティング層の耐熱性や密着性、PETフィルムの厚み、表面処理などによって、加工後の外観や表面状態が変化する可能性があります。

実際の基材を使用した試作評価が必要です。

希望する表面粗さに近いマットPETフィルムを作成できますか?

保有するエンボス柄の中から、目標とする表面粗さや見本品に近い柄を検討できます。

ただし、同じ柄であっても、PETフィルムの種類、厚み、加工条件、測定方法などによって、加工後の数値が変わる場合があります。

目標となるRa・Rzなどの数値や見本品がある場合は、事前にご提示ください。

マットPET・PETフィルムへの凹凸加工をご検討の方へ

マットPETは、表面の光沢を抑えたPETフィルムを広く表す言葉であり、作製方法や製品によって表面状態や性能が異なります。

合同樹脂工業では、PETフィルムにエンボス加工で凹凸を形成し、艶消し、映り込みの低減、触感、滑り性、密着防止などの機能を検討できます。

既存柄のカットサンプルによる比較や、実際のPETフィルムを使用した試作についてもご相談ください。

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監修者:合同樹脂工業株式会社 代表取締役 長木 翔吾 

合同樹脂工業社長写真

一橋大学商学部卒。経営コンサルティング会社にて製造業を中心とした経営支援業務に従事した後、合同樹脂工業株式会社に入社。 
プラスチックフィルムへのエンボス加工を主力とする同社にて、製造現場・品質管理・技術情報の統括を担う。 
半世紀にわたり同社が蓄積してきたハードエンボス加工の現場知見とフィルム加工分野の技術動向をもとに、実際の製造現場に基づく信頼性の高い技術情報の整理・監修を行っている。  

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