公開日:2026/8/20
最終更新日:2026/8/20
PETとPP(OPP・CPP)を比較|比重・厚み・価格から考えるフィルム選定

PETとPPは、どちらも幅広く使われているプラスチックフィルムです。
材料を選定する際には、耐熱性や柔軟性といった物性だけでなく、価格も重要な判断材料になります。
従来、「価格面ではPPが有利」という理由からPPを選択してきた用途もあるかと思います。
しかし近年はPPフィルムの価格も上昇しています。
そのため、特に工業用途では、
「これまでPPを使ってきたから、今後もPP」
ではなく、PETとの価格差や必要な厚み、耐熱性、寸法安定性などを含めて、改めて材料を比較する余地が出てきています。
本記事では、PETとPP(OPP・CPP)の違いを簡単に整理したうえで、価格・比重・必要厚みという観点からフィルム選定を考えます。
PETとPPの特徴を大まかに整理すると、以下のようになります。
項目 |
PET |
PP |
|---|---|---|
比重の目安 |
約1.4 |
約0.9 |
軽量性 |
PPより重い |
優れる |
耐熱性 |
比較的高い |
PETより低い傾向 |
寸法安定性 |
優れる |
PETより変形・伸びの影響を受けやすい傾向 |
剛性 |
比較的高い |
PETより柔軟 |
柔軟性 |
PPより低い |
比較的高い |
ヒートシール性 |
一般的なPET単体では限定的 |
CPPなどで優れる |
主な用途 |
工業用途、包装、工程材など |
包装、ラミネート、工業用途など |
※上記は一般的な傾向です。フィルムのグレード、延伸状態、厚み、添加剤等によって物性は異なります。
PETは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、加工適性などのバランスに優れており、工業用途でも広く使用されています。
一方、PPはPETより比重が小さく、軽量で柔軟性があることなどが大きな特徴です。
なお、PETそのものの特徴や用途については、当社の「PETフィルムとは?特徴・用途・種類・エンボス加工までわかりやすく解説」記事で詳しく紹介しています。
PPフィルムを検討する際には、OPPとCPPの違いについても理解しておく必要があります。
OPPは「Oriented Polypropylene」の略で、延伸されたポリプロピレンフィルムです。
透明性や軽量性などの特徴を持ち、包装用途を中心として幅広く使用されています。
CPPは「Cast Polypropylene」の略で、無延伸ポリプロピレンフィルムです。
OPPと比較すると柔軟性があり、ヒートシール性を活かして包装材のシーラント層やラミネート用途などにも使用されています。
そのため、材料選定では単に、
「PETかPPか」
だけではなく、
「PET・OPP・CPPのどの特性が、用途に適しているか」
を考える必要があります。
近年は、PPフィルムの価格は上昇しています。
2026年8月20日付の日本経済新聞では、大口需要家向け包装用PPフィルムの国内価格はOPPが7,200円/連、CPPが7,150円/連と報じられています。
(1連は500㎡換算です。)
また、同紙に掲載された価格推移を見ると、2020~2021年頃には4,000円台だったPPフィルム価格は、その後段階的に上昇し、2026年には7,000円台に達しています。
時期 |
国内価格(大口需要家向け) |
|---|---|
2020~2021年頃 |
4,000円台/連 |
2026年8月 |
OPP:7,200円/連 CPP:7,150円/連 |
※日本経済新聞2026年8月20日付掲載の価格情報・価格推移をもとに当社作成。2020~2021年頃の価格については、掲載グラフから確認できる概算水準です。
※価格は2026年8月時点の参考情報です。実際の価格はグレード、厚み、数量、契約条件等によって異なります。
PETフィルムについても価格改定は行われているため、PPだけが値上がりしているわけではありません。
ただし、従来、
「性能上はPETでもPPでも対応できるが、価格面からPPを選択する」
という判断をしていた用途については、現在の価格環境を踏まえて、PETとの価格差を改めて確認する意味が出てきています。
PETとPPの価格を比較するときに注意したいのが、比重の違いです。
一般的な目安では、PET:約1.4、PP:約0.9となります。
PETの方が比重が大きいため、仮にPETとPPのkg単価が同程度であっても、同じ面積・同じ厚みであればPETの方が重量は大きくなります。
したがって、
「PETとPPのkg単価が近づいた=フィルム価格も同じになった」
というわけではありません。
材料費を比較する場合には、kg単価だけでなく、
比重・厚みを含めた面積あたりの価格
まで見ることが重要です。
ただし、ここでもう一つ考えておきたいポイントがあります。
それは、PETとPPを必ずしも同じ厚みで比較する必要はないということです。
フィルムの面積重量は、目安として「厚み(μm)×比重=面積重量(g/㎡)」で求めることができます。

フィルムの厚み・幅・長さからロール重量を確認したい場合は、フィルムロールの巻き径・巻長・重量計算ツールもご利用いただけます。
例えば、現在PP75μmを使用している用途があったとします。
この場合、
「PET75μmはいくらか」
だけを比較すると、材料選定としては十分ではありません。
用途によっては、PETの剛性や機械的強度、寸法安定性などを活かすことで、PPより薄いPETでも必要な性能を満たせる可能性があります。
その場合、実際に比較すべきなのは、
PP75μmとPET75μmではなく、
その用途で必要な性能を満たすPPとPETそれぞれの厚みです。
もちろん、
「PP75μmならPET50μmに置き換えられる」
と一律に判断することはできません。
必要となる強度、柔軟性、耐熱性、表面性状などは用途によって異なるため、実際の評価が必要です。
しかし、材料コストを比較する際に、
「同じ厚みの価格」ではなく「必要性能を満たす厚みでの面積あたり価格」を見る
という考え方は重要です。
PP価格が上昇したからといって、すべてのPP用途をPETへ変更できるわけではありません。
一方で、従来「価格」を主な理由としてPPを選択していた工業用途では、PETを再評価する余地は以前より大きくなっています。
例えば、次のようなケースです。
PETは比較的耐熱性に優れるため、加熱工程を伴う用途では候補になりやすい材料です。
PPを使用していて、熱による変形や収縮などが課題となっている場合には、PETでの評価を検討する価値があります。
フィルムを工程材として使用する場合、加工中の伸びや寸法変化が問題になることがあります。
寸法安定性を重視する用途では、PETの特性を活かせる可能性があります。
単純な同一厚みでの材料価格ではなく、必要な剛性や強度を満たす厚みまで含めて比較すると、PETが選択肢に入りやすくなる場合があります。
PPとPETの材料単価だけでなく、加工後に求められる性能まで含めて比較することが重要です。
一方、PPにはPETにはないメリットがあります。
例えば、
・軽量性を重視する
・柔軟性が必要
・ヒートシール性が必要
・PP特有の物性が必要
・PPを前提としたラミネート構成になっている
といった用途では、PPを使用するメリットがあります。
特にCPPはヒートシール性などを活かして包装用途で広く使用されており、単純にPETへ置き換えられるものではありません。
エンボス加工においても、基材の選定は重要です。
フィルム表面に凹凸を形成することで、
・離型性、密着防止
・滑り性
・空間形成
・光拡散・マット化
・樹脂への表面形状の転写
など、さまざまな機能を付与できます。
合同樹脂工業では、PET、OPP、CPPをはじめとした各種プラスチックフィルムへのエンボス加工に対応しています。
同じエンボス柄を使用しても、PET・OPP・CPPでは基材の剛性や熱特性が異なるため、凹凸の付き方や仕上がりが同じになるとは限りません。
当社では、実際の基材を用いたサンプル・試作を通じて、形状の付き方や加工適性を確認しています。
そのため、
「現在PPを使用しているが、PETでも評価してみたい」
「PETとPPのどちらを使用するか決まっていない」
「基材の厚みを含めて見直したい」
「使用中のフィルムで希望するエンボス形状が出るか確認したい」
といった材料選定・試作段階からご相談いただくことも可能です。
エンボス加工の仕組みや用途については、「エンボス加工とは?仕組み・種類・メリット・用途を専門メーカーが解説」もあわせてご覧ください。
PETとPPを比較する際には、材料のkg単価だけで判断するのではなく、
比重・必要厚み・面積あたりの価格・要求性能
まで含めて考えることが重要です。
PPフィルムの国内価格は、2020~2021年頃の4,000円台から、2026年8月には7,000円台へと上昇しています。
もちろんPETも価格改定が行われていますが、従来「価格面ではPPが有利」という理由からPPを選択していた工業用途では、PETとの価格差を改めて確認する意味が出てきています。
特に、
・熱工程がある
・寸法安定性を重視する
・加工時の伸びや収縮を抑えたい
・厚みを抑えながら剛性を確保したい
・エンボス形状の安定性を重視する
といった用途では、PETを含めて比較してみる価値があります。
PETとPPのどちらか一方が常に優れているわけではありません。
重要なのは、現在の価格と、実際に必要な機能の両方から材料を選ぶことです。
合同樹脂工業では、PET、OPP、CPPをはじめとした各種プラスチックフィルムへのエンボス加工に対応しています。
材料が決まっていない段階や、少量での評価・試作段階からでも、お気軽にご相談ください。
監修者:合同樹脂工業株式会社 代表取締役 長木 翔吾

一橋大学商学部卒。経営コンサルティング会社にて製造業を中心とした経営支援業務に従事した後、合同樹脂工業株式会社に入社。
プラスチックフィルムへのエンボス加工を主力とする同社にて、製造現場・品質管理・技術情報の統括を担う。
半世紀にわたり同社が蓄積してきたハードエンボス加工の現場知見とフィルム加工分野の技術動向をもとに、実際の製造現場に基づく信頼性の高い技術情報の整理・監修を行っている。
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