公開日:2024/11/7

最終更新日:2025/10/20

エンボスとは?機能性付与や意匠性向上に役立つ“エンボス加工”の基礎知識をまとめました!

PETフィルムへエンボス加工を鶴柄を施した参考例

プラスチックや金属、皮革、紙といった基材に凹凸を付けることで、様々な効果が得られる“エンボス加工”。商品のデザイン性を高めたり、ものづくりの生産性を向上させたりと、利用目的も多岐に渡ります。

合同樹脂工業は、二軸延伸ポリエステルフィルムなどの高剛性のフィルムへのエンボス加工を手掛けている企業です。離型性・剥離性、クッション性、断熱性、艶消し、光拡散といった各種効果をエンボス加工で付与し、窓用フィルムや工業用の工程紙などに活用されています。

今回は『エンボスフィルムの基礎知識』をまとめました。エンボス加工のメリット・デメリット、工法や素材との相性、機能性向上の具体例、そして今後の環境対応まで幅広く解説します。

エンボスで加工可能な素材(蒸着、印刷、ハードコート)
エンボス加工で使用される金型(エンボスロール)の写真

エンボス加工の基本

エンボス加工は、特に紙やプラスチック、金属などの素材に用いられ、視覚的にも触覚的にも特徴的な効果を生み出します。エンボス加工には裏面を押し上げて浮かす(したがって裏面は凹む)方式、表面に特殊なインクを付着することで凸部を形成する(裏面は凹まない)方式があります。  
 
エンボス加工により凹凸を入れることで、フラットでは成し得なかった離型性やクッション性といった機能面を持たせたり、また手触りや意匠性を付与することが可能となります。  
 

エンボス加工の工法イメージ図
エンボス加工の工法イメージ図(平版)

エンボス加工の代表的な方式

平版印刷エンボス

平版エンボス(へいばんエンボス)は、印刷技術の一種です。プレート型の金型により、エンボス加工を施すことで、凹凸のあるデザインや立体感を持たせた印刷物を作成することができます。この技術は、特にパッケージデザインや広告などでよく使われています。

ロールtoロールエンボス

当社のエンボス加工はエンボスロールを使用したロールtoロールによる連続成型が可能です。「連続成型」とは、材料を連続的に加工して製品を作る方法です。このプロセスは、特に大量生産などの際に適しています。※右イメージ

UV(インク)エンボス

表面に特殊インクを盛る方式で、裏面を変形させず印刷一体型が可能。

エンボス加工で得られる効果

視覚的な魅力と立体感

凹凸が光を乱反射させ、製品の見た目に高級感と存在感を与えます。デザイン印刷だけでは出せない質感演出が可能です。

ブランド認識

ロゴやデザインをエンボス加工することで、ブランドの認知度を高めることができます。高級ブランドや特別な製品によく見られる技術です。

触感の付与

エンボス加工の最大の魅力で、まず挙げられるのが意匠性の向上です。光の反射を制御することで、素材表面に高級感や立体感が生まれます。マット調・艶消し・レザー調・石調など、用途に応じて質感を自在に設計できるため、ブランドイメージを大きく左右する要素になります。単なる「デザイン加工」ではなく、「触れるデザイン」として人の感覚に訴えかける表現が可能です。

右の写真はフィルムで樹脂表面へ石の触感のような触り心地を転写したサンプルとなります。フラットでは物足りない表面をエンボス形状の転写により、本物の石であるかのような触り心地をご提案可能です。 

エンボスフィルムで表面に触感を付与した参考画像

滑り止め効果

特定のパターンやテクスチャをエンボス加工することで、滑り止め効果が得られるため、持ちやすさや安全性が向上します。

耐久性の向上

特定の素材では、エンボス加工が摩耗や傷から守る役割を果たすことがあります。表面に凹凸をつけることで、傷や汚れが目立ちにくくなります。

付加価値

エンボス加工が施されていると、その製品が他とは一線を画すものと感じられるため、付加価値が高まり、消費者にとっての魅力が増します。 

環境対応

近年、エンボス加工が改めて注目を集めている理由のひとつが「環境対応」です。
再生材や使用済みフィルムの再利用が進むなかで、エンボス加工は「再利用時の機能再生手段」として活用されています。
たとえば、廃棄予定の工程紙やセパレーターを再エンボス(Reエンボス)することで、滑り性や離型性を復元し、再利用を可能にします。これにより、廃棄物の削減とコスト低減を同時に実現します。

エンボス加工のデメリットと対策

コスト

高品質なエンボス加工を行うためには、特別な機械や金型が必要であり、そのためのイニシャルコストが大きくなります。また、加工プロセス自体も時間がかかるため、コストが高くなることがあります。

→弊社では100種類の自社版を所有しておりますため、初期段階から広くご検討が可能です。

デザインの制約

一度エンボス加工を行うと、そのデザインを変更するのは難しいことがあります。特に、大量生産される製品では、デザイン変更が困難な場合があります。

素材の制約

エンボス加工に適した素材が限られています。例えば、柔らかすぎる素材や非常に硬い素材は、加工が難しい場合があります。

→弊社エンボスは一般的に後加工が難しいとされる延伸PETやポリアミド、ポリカなどの加工実績がございます。

耐久性

エンボス加工された部分は、摩耗や劣化に対して脆弱であることがあります。特に、頻繁に触れられる場所や摩擦の多い部分では、デザインがすり減ることがあります。

複雑さ

高度なデザインや細かなディテールを含むエンボス加工は、技術的に難しく、熟練した職人の技術が必要です。

エンボスロール(金型)

右の画像は材料の表面に特定の模様やテクスチャをつけるためのエンボスロールです。
当社は約100種類のエンボスロールを所有しています。 多彩な表面エンボス柄により意匠性・過密着防止・光拡散などの機能性を付与できます。 

エンボスフィルムに使用する金型(エンボスロール)

素材別の適性と加工実績

エンボスフィルムの用途

エンボス加工の効果については多岐にわたります。まず、視覚効果として、デザインに立体感や深みを加えることで、製品の美しさや魅力を引き立てます。触覚効果も大きく、製品に独特な手触りを与えることで、ユーザー体験を向上させます。 
 
さらに、エンボス加工は機能的効果も持ちます。例えば、滑り止めとしての機能を持たせたり、製品の耐久性を向上させることができます。また、ブランド認識を高める効果もあり、特に高級ブランドや特別な製品において、エンボス加工が一目でそれとわかるデザイン要素となることが多いです。 

まとめ

エンボス加工は、プラスチックや金属などの素材表面に凹凸をつけて、デザイン性や機能性を向上させる技術です。高級感や滑り止め効果、耐久性強化などの効果が得られ、ブランド認知向上にも役立ちます。その加工方法については平版やロールでの加工があり、メリットデメリットはさまざまです。

いかがでしたでしょうか。みなさまのご参考になれば幸いです。

次回のブログではエンボス加工による効果についてご紹介しますので、是非ご覧ください。
エンボス加工とは?素材と凹凸で機能性付与"エンボス加工"の基礎をご紹介! 

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