公開日:2024/11/7

最終更新日:2025/6/26

エンボスとは?機能性付与や意匠性向上に役立つ“エンボス加工”の基礎知識をまとめました!

プラスチックや金属、皮革、紙といった基材に凹凸を付けることで、様々な効果が得られる“エンボス加工”。商品のデザイン性を高めたり、ものづくりの生産性を向上させたりと、利用目的も多岐に渡ります。  
 
合同樹脂工業は、二軸延伸ポリエステルフィルムなどの高剛性のフィルムへのエンボス加工を手掛けている企業です。離型性・剥離性、クッション性、断熱性、艶消し、光拡散といった各種効果をエンボス加工で付与し、窓用フィルムや工業用の工程紙などに活用されています。 
 
今回は『エンボスフィルムの基礎知識』をまとめてみました。エンボス加工のメリット・デメリット、可能な工法などを分かりやすく解説しております。

1.エンボス加工とは何か?

エンボス加工とは、金型やロールを使って素材表面に立体的な凹凸を作る加工技術です。英語の“emboss”は「浮き出し加工をする」という意味があり、主に紙や革、金属、プラスチックなどさまざまな素材に適用されます。

エンボス加工によって、素材の一部が浮き上がったような凹凸パターンが形成され、意匠性の向上はもちろん、触感や摩擦係数の変化など、機能面でも大きな効果を発揮します。

2.エンボス加工の仕組み

エンボス加工の基本は、金型やロール(エンボスロール)を用いて熱と圧力を加える方式です。熱可塑性素材では、加熱後に凹凸形状が定着し、冷却後にも平滑に保持されます。

◆押し出し方式
裏面から素材を押し上げることで表面に凹凸を浮き立たせます。板紙や厚手素材に多く採用。

◆表層インク方式
表面にインクを重ねて凸部を形成し、裏面にダメージを与えずに凹凸を制作。

いずれも熱 + 圧力 + 金型(またはエンボスロール)の組み合わせで、連続の加工が可能です。

3.エンボス加工で得られる効果とメリット

見た目の高級感と意匠性の向上

凹凸があることで、製品に高級感や独自性を持たせることができます。触感も加わり、デザインが立体的になるため、視覚的にも触覚的にも魅力的です。

触感の付与

エンボスには立体的表面にすることで触感を付与することが可能であり、そのフィルムを使用し、樹脂転写を行うことで触り心地の効果を樹脂などの転写物に付与することも可能です。

右の写真はフィルムで樹脂表面へ石の触感のような触り心地を転写したサンプルとなります。フラットでは物足りない表面をエンボス形状の転写により、本物の石であるかのような触り心地をご提案可能です。 

滑り止め・グリップ性のアップ

特定のパターンやテクスチャをエンボス加工することで、滑り止め効果が得られるため、持ちやすさや安全性が向上します。

離型性の付与

粘着フィルムやテープなどでは、剥がれやすくするための“離型性”が重要です。表面に細かな凹凸を設けることで、接着面との接地面積をコントロールし、スムーズな剥離が可能になります。

耐久性の向上・保護効果

特定の素材では、エンボス加工が摩耗や傷から守る役割を果たすことがあります。表面に凹凸をつけることで、傷や汚れが目立ちにくくなります。

ブランド価値・高級感の訴求

ロゴやデザインをエンボス加工することで、ブランドの認知度を高めることができます。ロゴやモチーフを立体的に表現することで、製品のブランド力や品質印象を高める要素になります 。

 高級ブランドや特別な製品によく見られる技術です。

4.エンボス加工における課題と注意点

金型・ロール製作コスト

高品質なエンボス加工を行うためには、特別な機械や金型が必要であり、そのためのイニシャルコストが大きくなります。また、加工プロセス自体も時間がかかるため、コストが高くなることがあります。
当社は100本近くのロールを所有しておりますため、初期費用なしでご検討いただける柄が多数ございます。

デザインの制約・変更に手間がかかる

一度エンボス加工を行うと、そのデザインを変更するのは難しいことがあります。特に、大量生産される製品では、デザイン変更が困難な場合があります。

素材による制限

エンボス加工に適した素材が限られています。柔らかすぎる、硬すぎる素材には形状の再現や保持が難しく、適正素材選択が重要になります。

凹凸の耐久性

エンボス加工された部分は、摩耗や劣化に対して脆弱であることがあります。特に、頻繁に触れられる場所や摩擦の多い部分では、デザインがすり減ることがあります。

強い剛性のある基材を加工することでそのデメリットも対応可能です。

高精度加工には技術が必要

高度なデザインや細密な模様や微細凸凹の再現には、高度なノウハウと精密設備が必要です 。技術的に難しく、熟練した職人の技術が必要です。

5.エンボス加工の方式とそれぞれの特徴

平版印刷エンボス加工

平版エンボス(へいばんエンボス)は、印刷技術の一種です。プレート型の金型により、エンボス加工を施すことで、凹凸のあるデザインや立体感を持たせた印刷物を作成することができます。この技術は、特にパッケージデザインや広告などでよく使われています。

ロールtoロールエンボス加工

当社のエンボス加工はエンボスロールを使用したロールtoロールによる連続成型が可能です。「連続成型」とは、材料を連続的に加工して製品を作る方法です。このプロセスは、特に大量生産などの際に適しています。※右イメージ

エンボスロール(金型)

材料の表面に特定の模様やテクスチャをつけるためのロール(ローラー)です。当社は約80種類のエンボスロールを所有しております。 多彩な表面エンボス柄により意匠性・過密着防止・光拡散などの機能性を付与できます。 ※右に写真はエンボスロールの写真となります。

6.エンボス加工の主な用途例

エンボス加工の効果については多岐にわたります。まず、視覚効果として、デザインに立体感や深みを加えることで、製品の美しさや魅力を引き立てます。触覚効果も大きく、製品に独特な手触りを与えることで、ユーザー体験を向上させます。 
 
さらに、エンボス加工は機能的効果も持ちます。例えば、滑り止めとしての機能を持たせたり、製品の耐久性を向上させることができます。また、ブランド認識を高める効果もあり、特に高級ブランドや特別な製品において、エンボス加工が一目でそれとわかるデザイン要素となることが多いです。 

工業用フィルム

エンボス加工の凹凸により断熱・遮光・光拡散などの機能性を持たせる。

建材・内装材

滑り止めや意匠性のある表面加工、樹脂転写による意匠転写など。

電子部品関連

導電フィルムのスペーサーや保護材として

7.合同樹脂工業の強みと技術紹介

当社は、80種類以上のエンボスロールパターンを保有しており、ニーズに応じたカスタマイズが可能です。特に以下の点で高い評価をいただいております。

◆延伸フィルム(BOPETなど)への高難度加工対応

◆機能性(離型性・遮光性・艶消し・クッション性など)の付与

◆少量多品種生産から大ロットまで対応可能な体制

8.まとめ:エンボス技術が広げる未来

エンボス加工は、プラスチックや金属などの素材表面に凹凸をつけて、デザイン性や機能性を向上させる技術です。高級感や滑り止め効果、耐久性強化などの効果が得られ、ブランド認知向上にも役立ちます。その加工方法については平版やロールでの加工があり、メリットデメリットはさまざまです。

エンボスは、単なる装飾技術にとどまらず、機能性を持たせるための重要なプロセスとして、産業のさまざまな分野で活用されています。

合同樹脂工業では、難加工材料への対応力と、豊富なロールパターンによって、お客様の製品に最適な表面処理をご提案いたします。エンボス加工に関するお悩みや試作のご相談は、お気軽にお問い合わせください。

いかがでしたでしょうか。みなさまのご参考になれば幸いです。

次回のブログではエンボス加工による効果についてご紹介しますので、是非ご覧ください。
エンボス加工とは?素材と凹凸で機能性付与"エンボス加工"の基礎をご紹介! 

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