公開日:2026/6/16
最終更新日:2026/6/16
PEEKとは?PEEKフィルムの特徴・用途・表面加工までわかりやすく解説

PEEKとは、ポリエーテルエーテルケトンの略称で、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類される高機能樹脂です。
一般的なプラスチックに比べて、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、耐摩耗性、電気絶縁性などに優れており、自動車、半導体、電子部品、医療、航空宇宙、産業機器など、厳しい使用環境が求められる分野で使用されています。
また、PEEKをフィルム状にしたPEEKフィルムは、高温環境や薬品環境、絶縁用途、摺動用途、工程用キャリアフィルムなどで検討されることがあります。
一方で、PEEKフィルムは高機能である分、材料価格が高く、加工条件も慎重に検討する必要があります。また、用途によっては「対象物に貼り付く」「滑りが悪い」「剥離しにくい」「空気が抜けにくい」といった表面機能の課題が出ることもあります。
そのような場合、フィルム表面に凹凸を付与するエンボス加工によって、離型性、滑り性、密着防止、エア抜け性などを改善できる可能性があります。
この記事では、PEEKとは何か、PEEKフィルムとはどのような素材なのか、特徴・用途・他素材との違い・加工時の注意点・エンボス加工による表面機能付与までわかりやすく解説します。


PEEKとは、Poly Ether Ether Ketoneの頭文字を取った名称で、日本語では「ポリエーテルエーテルケトン」と呼ばれます。
PEEKは、スーパーエンジニアリングプラスチック、いわゆるスーパーエンプラの一種です。スーパーエンプラとは、一般的なプラスチックや汎用エンジニアリングプラスチックでは対応が難しい、高温・高負荷・薬品環境などで使用される高性能樹脂のことです。
PEEKは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、耐摩耗性、電気絶縁性、寸法安定性などをバランスよく備えている点が特徴です。
そのため、金属部品の軽量化や、一般的な樹脂では耐えにくい過酷な環境での部材として使用されることがあります。
PEEKフィルムとは、PEEK樹脂を薄いフィルム状に加工した高機能フィルムです。
PEEKの持つ耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性などを、薄いフィルム形状で活用できる点が特徴です。
一般的なPETフィルムなどでは対応が難しい高温環境、薬品環境、絶縁用途、耐摩耗用途などにおいて、PEEKフィルムが検討されることがあります。
PEEKフィルムは、以下のような用途で使用・検討されることがあります。
・高温環境で使用する絶縁フィルム
・電子部品・半導体関連の工程用フィルム
・耐薬品性が求められる保護フィルム
・摺動性や耐摩耗性が必要な部材
・高機能なセパレーター・キャリアフィルム
・高温工程で対象物を搬送するフィルム
ただし、PEEKフィルムは高性能である一方、材料価格が高く、加工条件も一般的なフィルムより難しくなる傾向があります。
そのため、採用にあたっては「本当にPEEKである必要があるのか」「どの性能を重視するのか」「どのような機能が必要なのか」を整理することが重要です。
PEEKフィルムの大きな特徴の一つが、耐熱性です。
PEEKは高温環境でも物性を維持しやすい素材であり、一般的なプラスチックフィルムでは変形や劣化が起こりやすい温度域でも候補になることがあります。
高温下で使用する工程用フィルム、絶縁フィルム、保護フィルムなどでは、耐熱性の高さが大きなメリットになります。
ただし、実際に使用できる温度は、フィルムのグレード、厚み、使用時間、荷重、接触する薬品や対象物によって変わります。カタログ値だけで判断せず、実使用条件に近い環境で評価することが重要です。
PEEKは、さまざまな薬品に対して耐性を持つ素材です。
そのため、薬品が接触する環境、洗浄工程、化学的に厳しい環境で使用される部材として検討されることがあります。
ただし、すべての薬品に対して完全に耐えるわけではありません。薬品の種類、濃度、温度、接触時間によって影響が変わるため、実際の使用環境で確認することが重要です。
PEEKは、高い機械的強度を持つ樹脂です。
フィルム状にした場合でも、一般的な樹脂フィルムに比べて高い強度や耐久性が求められる場面で検討されます。
例えば、繰り返し接触する部材、テンションがかかる工程用フィルム、摩耗が問題になる用途などでは、PEEKフィルムの強度や耐久性がメリットになる場合があります。
PEEKは耐摩耗性や摺動性にも優れる素材です。
摩擦が発生する部位や、繰り返し動作する部材では、摩耗による劣化や粉の発生、表面状態の変化が問題になることがあります。
PEEKフィルムは、こうした摩耗や摺動に関する課題に対して候補となる素材です。特に、耐熱性や耐薬品性とあわせて耐摩耗性も求められる場合に、PEEKの特性が活きやすくなります。
PEEKフィルムは、電気絶縁性が求められる用途でも検討されます。
耐熱性と電気特性を併せ持つため、電子部品、電気機器、半導体関連の部材などで使われることがあります。
高温環境下でも絶縁性を維持したい場合や、一般的な絶縁フィルムでは耐久性に不安がある場合には、PEEKフィルムが選択肢となります。
PEEKフィルムは、以下のような用途で検討されることがあります。
PEEKフィルムは、耐熱性、絶縁性、寸法安定性が求められる電子部品・半導体関連分野で使われることがあります。
例えば、工程用フィルム、絶縁部材、保護フィルム、搬送時のセパレーターなどです。
半導体や電子部品の製造工程では、熱、薬品、摩耗、クリーン性など複数の条件が重なることがあります。そのような環境で、PEEKフィルムの高機能性が評価される場合があります。
自動車や産業機器では、高温環境や摩耗環境で使用される部材が多くあります。
PEEKフィルムは、耐熱性や耐摩耗性が求められる部材、絶縁部材、保護部材などとして検討されることがあります。
金属部品の軽量化や、耐薬品性・絶縁性を付与したい場合にも、PEEKが選択肢になることがあります。
PEEKは、医療機器や分析機器の分野でも使用されることがあります。
耐薬品性、耐熱性、寸法安定性などが求められる部材に適しているため、特殊な環境下で使用されるフィルムや部材として検討されます。
ただし、医療用途ではグレードや認証、使用条件の確認が特に重要です。
PEEKフィルムは、製造工程で対象物を搬送したり、保護したり、分離したりする工程用フィルムとしても検討されます。
特に、高温環境で対象物を乗せる、薬品と接触する、一般フィルムでは変形や密着が起こる、といった場面ではPEEKフィルムが候補になります。
また、表面に凹凸を付与することで、対象物との接触面積を調整し、離型性、滑り性などを改善できる場合があります。
PEEKフィルムは高機能素材ですが、用途によっては表面機能に関する課題が生じることがあります。
例えば、以下のような課題です。
・対象物がフィルムに貼り付く、剥離しにくい
・滑りが悪い
・接触面積を下げたい
・表面にマット感を付与したい
・対象物側に凹凸形状を転写したい
・コーティングではなく物理的な凹凸で機能を付与したい
このような場合、素材を変更するだけでなく、フィルム表面の形状を調整することで課題を改善できる可能性があります。
特に、工程用キャリアフィルムやセパレーターとしてPEEKフィルムを使用する場合、対象物との接触状態をどのようにコントロールするかが重要になります。
PEEKフィルムにエンボス加工を行うことで、フィルム表面に凹凸形状を付与することができます。
エンボス加工とは、フィルム表面に熱や圧力を加え、ロールや型の形状を転写する加工方法です。コーティングや薬剤を使わず、物理的な凹凸によって表面機能を付与できる点が特徴です。
PEEKフィルムへのエンボス加工では、以下のような効果が期待できる場合があります。
・離型性の向上
・密着防止
・滑り性の改善
・マット感・意匠性の付与
・接触面積の調整
・樹脂などへの表面形状転写
例えば、対象物がフィルムに密着して剥がれにくい場合、表面に凹凸を付与することで接触面積を下げ、剥離しやすくできる可能性があります。
また、貼り付きによって工程不良が起こる場合には、凹凸によって空気の逃げ道を作ることで、密着を防止できる可能性があります。
さらに、コーティングや薬剤を使用せず、フィルム自体の表面形状で機能を付与できるため、異物や薬剤成分を避けたい用途でも検討しやすい方法です。
ただし、PEEKフィルムは高機能素材であるため、一般的なフィルムと同じ条件で加工できるとは限りません。目的とする凹凸形状、フィルム厚み、使用温度、要求性能を踏まえて、事前に試作評価を行うことが重要です。
PEEKフィルムを検討する際は、他の高機能フィルムとの違いも整理しておくと選定しやすくなります。
PETフィルムは、寸法安定性、透明性、コストバランスに優れた代表的なフィルムです。
一方で、より高い耐熱性や耐薬品性、機械的強度が求められる場合には、PEEKフィルムが候補になります。
コストを重視する場合はPET、より厳しい環境での耐久性を重視する場合はPEEKというように、使用条件に応じて選定します。
PENフィルムは、PETよりも耐熱性や寸法安定性に優れる高機能フィルムです。
PEEKフィルムは、さらに高い耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性などが求められる場合に検討されます。
ただし、PEEKは高価な素材であるため、PENで対応できる用途であれば、コスト面ではPENが有利になることもあります。
ポリイミドフィルムは、非常に高い耐熱性を持つフィルムとして知られています。
PEEKフィルムは、耐熱性に加えて、耐薬品性、耐摩耗性、機械的強度、熱可塑性樹脂としての加工性などが特徴です。
どちらが優れているというよりも、使用温度、薬品環境、機械的負荷、加工方法、コストなどを踏まえて選定する必要があります。
フッ素フィルムは、離型性、耐薬品性、非粘着性に優れる素材です。
PEEKフィルムは、耐熱性、機械的強度、耐摩耗性、寸法安定性などをバランスよく備えている点が特徴です。
離型性を最優先する場合はフッ素系フィルムが候補になりますが、強度や摩耗、寸法安定性も重視する場合にはPEEKフィルムが検討されることがあります。
PEEKは高性能樹脂である一方、一般的な樹脂に比べて材料価格が高い素材です。
そのため、すべての用途にPEEKを使うのではなく、使用環境や要求性能を整理したうえで、PEEKが本当に必要かを検討することが重要です。
例えば、耐熱性だけが必要な場合、PENフィルムなど、別の素材が候補になることもあります。耐薬品性や離型性が主目的であれば、フッ素系フィルムが候補になる場合もあります。
PEEKフィルムは高性能ですが、コストとのバランスを見ながら選定することが大切です。
PEEKフィルムは耐熱性が高い一方で、加工には適切な条件設定が必要です。
熱加工、切断、貼り合わせ、表面加工、エンボス加工などを行う場合、フィルムの厚み、グレード、結晶化度、加工温度、圧力、速度などによって仕上がりが変わります。
特にフィルムへの表面凹凸付与では、柄の深さ、ピッチ、温度等の使用条件などが重要になります。
そのため、量産前にはサンプル試作を行い、実際の使用条件に近い環境で評価することをおすすめします。
PEEKフィルムを使う場合、素材そのものの性能だけでなく、表面状態も重要になります。
離型性を高めたいのか、滑り性を改善したいのか、密着を防ぎたいのかなどによって、適した表面形状は変わります。
粗い凹凸が適している場合もあれば、細かい凹凸や規則的なパターンが適している場合もあります。
そのため、PEEKフィルムに表面機能を付与したい場合は、素材選定とあわせて、表面形状の設計も検討することが重要です。
PEEKフィルムを選定する際は、以下の項目を整理しておくと相談がスムーズです。
・使用温度
・使用時間
・接触する薬品や対象物
・フィルム厚み
・必要な幅・長さ
・表面に求める機能(離型性、滑り性、密着防止など)
・絶縁性の必要性
・摩耗や繰り返し使用の有無
・量産予定数量
特に、PEEKフィルムに表面加工を行う場合は、素材選定だけでなく、表面形状の設計が重要になります。
PEEKとは、ポリエーテルエーテルケトンの略称で、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類される高機能樹脂です。
PEEKフィルムは、PEEKの持つ耐熱性、耐薬品性、機械的強度、耐摩耗性、電気絶縁性などをフィルム形状で活用できる素材です。
高温環境、薬品環境、絶縁用途、摺動用途、工程用キャリアフィルム、セパレーターなど、一般的なフィルムでは対応が難しい場面で検討されます。
一方で、PEEKフィルムは高価であり、加工条件も慎重に検討する必要があります。また、用途によっては、素材そのものの性能だけでなく、離型性、滑り性、密着防止、エア抜け性などの表面機能が重要になることがあります。
合同樹脂工業では、PEEKフィルムを含むプラスチックフィルムへのハードエンボス加工に対応しています。
PEEKフィルムをはじめ、PET、PEN、PI、PC、OPP、CPP、PBT、フッ素フィルムなど、各種フィルムへ100種類の表面凹凸を賦形しています。
フィルム表面に凹凸を付与することで、離型性、滑り性、密着防止、エア抜け性、マット感、接触面積の調整などを検討できます。
「PEEKフィルムに凹凸を付けたい」
「対象物がフィルムに貼り付いて困っている」
「高温環境で使えるキャリアフィルムを探している」
「コーティングではなく、物理的な凹凸で表面機能を付与したい」
このような課題がございましたら、用途や使用条件をお伺いしたうえで、適した柄や加工条件をご提案いたします。
PEEKフィルムへの表面加工・エンボス加工をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
今回のブログ内容はいかがでしたでしょうか。
みなさまのご参考になれば幸いでございます。
その他のブログについてもぜひご覧ください。→ブログ一覧
監修者:合同樹脂工業株式会社 代表取締役 長木 翔吾

一橋大学商学部卒。経営コンサルティング会社にて製造業を中心とした経営支援業務に従事した後、合同樹脂工業株式会社に入社。
プラスチックフィルムへのエンボス加工を主力とする同社にて、製造現場・品質管理・技術情報の統括を担う。
半世紀にわたり同社が蓄積してきたハードエンボス加工の現場知見とフィルム加工分野の技術動向をもとに、実際の製造現場に基づく信頼性の高い技術情報の整理・監修を行っている。
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